子供の頃の小さな平屋の風景。
木枠のガラス窓から射す陽、縁側にすわって眺める茂った庭。
使いながら風格のつく家具たちは、僕ら兄弟と同じように育った。
大きなガレージにはバイク、トラクター、シェルフに工具の並ぶ遊び場だ。
「いい時間」のあった少年時代の家とガレージ。
大人になった。「いい時間」の中で暮らしたい。
英国でN.Yで日本でグッとくるようなケンチクたちがいた。
家を囲む樹々と窓からのロケーションと、ゴキゲンな空間。ほしかった。
それでもゼロからつくっては、気の遠くなる資金が必要で現実的じゃあない。
ベースになる家を安価で手に入れて、「スキな暮らし方」にカスタムすればできるはず。
新しいのに懐かしい空間や、素材の美しさをとじこめた自分だけの空間。
まだリノベーションなんてコトバがない20年前、僕らの仕事はそうしてはじまった。
今は山へ夕日が沈むのが見える部屋に暮らしている。
ゆったりと余白のある時間を重ねて。
リノベーションは『こう暮らしたい』を現実にしてくれた。
